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SUPERPAVEに対する世界各国の見解
(オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカおよび南アフリカのアスファルト舗装協会であるAAPA, EAPA, NAPA, SABITAの共同ニュ−ズレタ−である"The World of Asphalt Pavements" vol 5, Winter 1998より)

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ヨーロッパから見たSUPERPAVE
 ヨーロッパにおける供用性試験方法
 アメリカにおけるSUPERPAVEの実施状況
 バインダ等級仕様の評価
 現場実証から学んだこと
 ヨーロッパの今後の研究方向
 新しい試験法を開発する製油業者
 実用的な試験法を必要とする請負業者
 疑問に対する答えが必要である

SHRPのオーストラリアに与えた影響
 業界の研究開発計画が樹立された
 混合物設計ガイドが開発された
 世界的な研究方向の影響を受けて

南アフリカのSUPERPAVEに対する見方
 SUPERPAVEに対する関心
 南アフリカには適しない
 評価試験に良い刺激

SUPERPAVEに肯定的なアメリカの請負業者
 バインダに関しては問題なし
 従来の骨材は利用可能
 請負業者が混合物を設計
 プラントでの業務に変わりなし
 舗設、締固めでは細部が重要
 品質管理に変わりなし
 大体において請負業者は感銘


ヨーロッパからみたSUPERPAVE

 新しい世紀に入ろうとし、なおも増加が予想される輸送量は、効率的かつ供用性のよいインフラストラクチャを要求している。安全と円滑な交通が重要であり、再改良あるいは維持作業による妨げは最小限にしなければならない。これは道路輸送について言えば、供用寿命が長く、維持の必要の少ない高機能の舗装が要求されるということである。
 1980年代にアメリカにおける速すぎるアスファルト舗装の損傷の増加が、アスファルトとアスファルト混合物の仕様の改善に向けての組織化され、また財政の裏づけのある国家的研究努力を促進することになった。
 1987年、アメリカ議会はいわゆるSHRP(戦略的道路研究計画)の五ヵ年計画を1億5000万ドルの予算で認めた。この計画は連邦道路局(FHWA)と州政府、TRBおよび産業会が共同歩調をとったものである。
 アスファルトに関する最終成果は、1993年にSUPERPAVE(SUperior PERforming PAVEments)として公表された。これにはアスファルトバインダの供用性に基づく等級システムと新しい混合物設計手順および混合物の評価手順が含まれている。

ヨーロッパにおける供用性試験方法

 しかしながら、供用性の試験法および評価方法は何もSUPERPAVEだけのものではない。ヨーロッパにおいては機械的試験および供用性評価は研究および実際作業における長年の間の課題であった。
 1980年代にフランスでは道路管理者と産業界が共同して、ナントの実大試験施設を用いて供用性に基づく、現場の経験とも送還のある試験手順の新しい考え方を開発するべく、努力を払った。 フランスの経験は20年も遡るものである。オランダ、フィンランド、イギリス、スウェーデンなどほかのヨーロッパ各国でも同様の動きがあった。
ヨーロッパの標準および経験は現在、ヨーロッパ調和標準として生まれ変わろうとしている。スティフネスモデュラス、疲労抵抗、永久変形に対する抵抗などに関する機械的性質を評価する適切な試験方法およぴその仕様が明らかになり、CEN(ヨーロッパ標準委員会)による作業と合わされば、最終的に供用性に基づくアスファルト混合物の設計および評価のシステムがあらわれることになろう。 この意味においてヨーロッパアスファルト舗装協会(EAPA)は今日手に入るSUPERPAVEの技術をレビューし、ヨーロッパ市場における重要性を検討した。ここに、その報告を要約して示す。

アメリカにおけるSUPERPAVEの実施状況

 1993年のSHRPの画期的な研究成果の発表とSUPERPAVEの導入計画の開始に対する諸外国の期待は極めて高いものがあった。
 それから5年経った今日、SUPERPAVE技術の意味合いが見えてきている。
 ジャイレトリー締固め機を用いた容積設計の考え方と画期的な供用性に基づくアスファルトの仕様は関連する試験法とともに速やかに全米で受け入れられた。
. しかしながら、米国内での導入計画の進行を見てみると、SHRPのすべての成果が実行可能な程度まで開発の進んだものではなかったことが明らかになってきた。
 1995年には、FHWAはSUPERPAVEのレベル2および3に関わる供用性モデルの不整合があり、さらなる検証と精緻化が必要であることを認めた。
 この結果、アスファルト混合物の供用性試験の導入は中断され、バインダの仕様とジャイレトリー締固め試験機を用いた容積設計の考え方だけが、実際に動くSUPERPAVEのシステムとなった。
 驚いたことに、SUPERPAVEには再生アスファルト舗装に対する設計手順は含まれていなかった。しかし、導入過程においてSUPERPAVEのアスファルト混合物専門家グループはSUPERPAVEのシステムの中に再生アスファルト舗装を含めるべく内部のガイドラインを開発するべくイニシアティブをとった。

バインダ等級仕様の評価

 SUPERPAVEの画期的なバインダの仕様では、各工事に最適なアスファルトバインダを選択できるよう、新しく組み上げた気候判定システムを用いる。
 しかしながら、道路管理者は慎重かつ、保守的な態度で臨んでおり、結果として多くの州では2ないし3の供用性等級を採用している。その一つは通常級とでもいうべきもので、従来からその州で使用してきた改質されないアスファルトに対応している。この等級は多くの場合、アメリカではPG64-22であり、ヨーロッパの針入度60/70に相当する。州ではほかに1ないし2のスーパー級という等級を採用しており、それは従来のポリマー改質アスファルト、代表的にはPG 76-22に対応している。
 SUPERPAVEのバインダ等級仕様の妥当性の評価が行われており、BBR試験のスティフネスとm-値で現される要求仕様はカナダにおける現場研究の結果、現場での供用性と非常に良く相関している。G*/sinδ と G*sinδについてはもっと議論の余地がある。
 原アスファルトに対するG*/sinδが1 kPa、回転薄膜加熱試験後の2,2 kPaという仕様は、アスファルト混合物のわだち掘れに対する抵抗力には骨材の特性が主要な役割を果たすという条件付きで、一般的には受け入れられる。G*sinδに関する要求仕様については、もっと複雑であり、議論の余地がある。これについては現在、作業が進行中であり、位相角δにもっと重きが置かれるように変わるかもしれない。
 交通速度が遅い、あるいは特に重交通の場合にバインダの供用性等級を上げる方法については現在議論が行われている。このような方法は時間−温度依存の仮定原理に妥当性があるアスファルトバインダについてのみ用い得るものであることは明らかである。しかし、改質バインダのいくつかではこのような性質は見られない。

現場実証から学んだこと

 FHWAはSUPERPAVEシステムの現場検証のため、実道路の建設から促進載荷試験施設にいたるまでの広範なシステムを構築した。
 最初のSUPERPAVEの試験区間は1992年に仕様の草稿を持っていた4つの州で建設された。これらは1つを除いて、供用性は良くなかった。
 ヴァ−ジニア州におけるFHWAの促進荷重試験地では1993年からSUPERPAVEの試験区間を評価している。異なるSUPERPAVEバインダを使用した5つの試験区間の荷重試験からは、SUPERPAVEのバインダの等級仕様はバインダの等級システムとしてよく機能するが、改質バインダの等級判定にはさらなる検討を要することがわかった。
 2 kmの楕円形のトラックで75トンのトレーラーを用いるFHWAのWestTrackでも施工時のパラメータが供用性に与える影響を評価する試験が行われた。そのパラメータにはバインダ量、層厚およびフィラー量がある。
 WesTrackで施工したすべてのSUPERPAVE混合物が期待どうりの供用性を示したわけではない。評価によれば、粗粒度の混合物は施工時のパラメータに極めて敏感に反応し、時に安定性が悪く、非常にわだち掘れを生じやすくなる。細粒度の混合物は非常に供用性が良く、わだち掘れも最小限であった。ただし、バインダ量が少なく、フィラー量が余分な細粒度の混合物は予想に違わず、疲労クラックを見せた。
 検証計画の進行とともに多くのことが学ばれ、1993年にSHRPが当初の発表したSUPERPAVEシステムの改良点が明らかになった。全般的にはSUPERPAVEシステムはうまく行っているが、常に改良の余地はあるものである。

ヨーロッパの今後の研究方向

 舗装に対する荷重高レベルになっており、さらに年々の増加はここ数十年は続くと見られる。増加を見せているのは重量トラックの数のみではない。軸重、軸構成およびタイヤ圧の変化が舗装に対する荷重の主要な変化として意味を持っている。
 加えて、環境と健康安全の問題がさらに重要性を増し、アスファルト舗装をいかに設計し施工するかに影響してくる。
 道路管理者レベルでは、交通管理に焦点を移す傾向と予算の減少とが相俟って、舗装の管理に対する伝統的なアプローチを再評価する必要性がクローズアップされる。私企業化と道路管理者とアスファルトメーカー、請負業者間の画期的な契約関係が今後ますます重要になると思われる。
 CENが組織しているヨーロッパ調和標準の効果が決定的に重要になろう。ヨーロッパ標準が全ヨーロッパの共通の土台となり、今後の開発はその上で勧められることになろう。
T ヨーロッパのアスファルト業界は自らを民衆および道路管理者を動かす責任を有し、またその立場にあると考えている。このような観点から、EAPAは「ヨーロッパにおけるアスファルトの研究開発」と題する研究レポートを発表した。このレポートには今後の研究方向の目録を示しており、そのうちのあるものは、この議論と関係している。それらとは:

・アスファルト混合物の性状を管理、明示する信頼性のある試験方法の開発:試験室での試験によるもの、現場での表面性状の試験によるものを問わない。
・アスファルト混合物に対する改質バインダあるいは添加物の利点とその限界に関する検討。
・新しい契約関係の樹立。機能仕様契約あるいは機能保証舗装などは今後の有力な契約関係の考え方である。機能仕様契約においては、請負者が現場配合を決定し、使用する材料をすべて選び、その代わりにある定められた期間内の舗装の供用性を保証し、維持することになる

新しい試験法を開発する製油業者

 ヨーロッパのバインダの仕様は、現在のところ、従来のアスファルトについて経験的に満足な試験方法によっている。大多数の人はSUPERPAVEは合理的な供用性に基づく仕様への長期的な方向への正しい動きと見ている。
 ヨーロッパのアスファルト協会であるEurobitumeは、この件に関して積極的に議論すべく活動しており、アスファルトバインダに関するヨーロッパ標準委員会であるCEN TC19 SC1は、つい最近、合理的、かつ供用性と関連付けた仕様を開発するプロジェクトを承認した。
 Eurobitumeがクローズアップしているのは以下の事柄である。

・SUPERPAVEはヨーロッパでのしように適するバインダを排除したり、またヨーロッパに適しないバインダを持ち込む可能性がある。・SUPERPAVEは従来タイプのアスコンへの適用のために開発されたものであり、ヨーロッパで採用されている多くの工法(グースアスファルト、排水性アスファルト混合物、極薄層舗装など)を考慮する必要がある。
・SUPERPAVEの試験方法はすべての供用性上の要求をカバーするには限界がある。

 Eurobitumeは以下に要約するような、広い合意に基づく原則を採択した。すなわち、試験方法は現場での使用に妥当であること。ヨーロッパは健全な実験計画に基づいた現場試験の結果により、有意義な利点が立証されない限り、これまでの試験方法を新しい試験方法に変えることはするべきでない。
 SUPERPAVEの試験法の多くはその再現性についてはまだ、満足できるものではなく、現場の品質管理に適する試験機、試験方法を開発する必要があることをお知らせしておいた方がよい。Eurobitumeは1999年春に、アスファルトバインダの供用性と関連付けた性状に関するワークショップを開催することになっている。この中でSHRPおよびSUPERPAVEに関するPIARCのセミナーも開催される。このワークショップの結果がヨーロッパにおける供用性に関連付けた仕様の強力な土台になろう。

実用的な試験法を必要とする請負業者

 ヨーロッパにおいては、品質とその改善は請負業者の側で強力に進められる。ヨーロッパのアスファルト舗装の請負業者は高次の会社間の品質保証および舗装用アスファルト混合物についての長期にわたる経験を育ててきた。
 このような背景から考えると、混合物に対する機能要求仕様への方向は今後の論理的な軌跡となろう。請負業者がアスファルト混合物を設計するからには、最終的に舗装の供用性も請負業者の責任ということになる。このためには、請負業者はそれに基づいて保証できるような信頼できる促進試験方法と供用性モデルを必要とする。
 SUPERPAVEのシステムは、現在の段階では混合物の供用性について必要な情報を提供していない。SHRPは実際のところ、そのための試験のフルセットを開発したのであるが、現在のところでは提案されたSUPERPAVEのアスファルト混合物に関する試験の実際的な妥当性については疑問がある。
 SUPERPAVEのバインダに関する画期的な仕様は、特に改質バインダを扱う場合に興味深いアプローチ方法を提供している。しかしにがら、ヨーロッパのアスファルト業界は、現場での供用性との相関性の確認はSHRPの成果ではまだ不十分であるという印象を持っている。
 製油業界が前述したように、この仕様とその仕様限界がヨーロッパで一般的に用いられている改質バインダとどう関わってくるかについて数多くの疑問が生じてきた。したがって、新しい試験法を適用する前にこれらの疑問に答えなければならない。
 ヨーロッパのアスファルト業界は請負業者の役割が強調されるべきと考えている。画期的な製品と考え方を生み出すのがこの業界の責務である。そのためには、適切で信頼できる試験法と混合物設計と等級判別の原理が利用可能であり、現場の経験と関連付けられていなければならない。
 試験法は機能保証高次など、適用される特定の契約関係にも適するものでなければならない。結論的に、ヨーロッパの立場、試験法は実用的で、毎日の作業に導入でき、合目的でなければならないということである。あまりにも複雑であったり、高価であったり、時間がかかったりする方法は使用することはできないし、日常ベースで生産を管理するには非効率である。
 品質管理のためには、試験方法と器具はアスファルト舗装の通常の製造および施工において使用できることが要求される。ヨーロッパのアスファルト業界の構造上、混合物の設計、等級判別、品質管理に関わる信頼できて安心できる仕様が必要である。

疑問に対する答えが必要である

 SUPERPAVEの科学的基礎は理解できる。しかし、試験法に翻訳するためにはヨーロッパにおける請負契約制度に適合させる必要がある。
 アスファルト業界の意図するところは、積極的に必要なシステムの様式を整えることである。EAPAの技術委員会は実用の製品品質管理システムの推奨を含めて、この課題に継続的に取り組んでいる。
 最も重要な結論は、混合物の分析と供用性の予測ができなければSUPERPAVEのシステムは、現在のヨーロッパの技術と比べてもより優れた技術とはいえないということである。さらに言えば、ヨーロッパ市場でSUPERPAVEのシステムの有用性を主張するためには、さらなる検証計画が必要になるということである。


SHRPのオーストラリアに与えた影響

 1988年から1993年SHRP戦略的道路研究計画の五年の期間中、オーストラリアの道路期間から5名のスタッフが出向して各1年づつ、計画に参画した。
 産業会も各種のSHRPの工事に定期的に見学者を送った。これにより、アメリカのみならず、全世界のかなりの関心を集めた、それ自体、アスファルトとバインダの研究開発への起動力であるSHRPの成果にいち早くアクセスすることができた。

業界の研究開発計画が樹立された

 同じような時期に、オーストラリアのアスファルト業界は、オーストラリアアスファルト舗装協会(AAPA)を通じて、健全な技術的および市場的な土台に基づいた品質およびアスファルト混合物の供用性改善によりアスファルトの利用を促進するという広い目的を以て、継続的な製品の研究開発プログラムを採択した。
 AAPAは現在研究計画の第三段階に進んでいる。最初ののAAPAの研究開発はスティフネス、変形および疲労に集中して1988年に始まった。全体を通じて存在した原動力は、何を採用するにしろ、それは全国的であり、かつ高品質で実用的であり、利用可能でなければならないということであった。
 すべての作業はAUSTROADとAAPA、それにARRB輸送研究所がパートナーを組んで、各プロジェクトについての各機関の利用可能な最良の人材を投入して行われた。この過程を通じて、SHRP研究計画のみならずヨーロッパの成果をモニターし、それらを研究計画の入力とした。

混合物設計ガイドが開発された

 特筆すべき成果は、AUSTROADSとAAPAとの共同発行になる、1997年5月のAPRG Report No.18 "アスファルト混合物の選択と設計:オーストラリア地域ガイド"である。このガイドには新しい供用性と関連付けたアスファルト混合物の設計手順とこれに関連する利用可能で、正確かつ利用が容易なオーストラリアの設計、製造になる試験装置が記述されている。混合物設計手順にはオーストラリア標準規格あるいはこの手順の一部として開発されたAUSTROADSの試験法を含んでいる。
 いくつかの道路管理者は中程度から重交通などの交通条件に対して、現場での締固めをジャイレトリー試験機でシミュレートし、用意した試料の強度と変形性(ダイナミッククリ−プ)を材料試験機械(MATTA)で試験するこの新しい手順をすでに仕様規格として取り入れている。
 重交通で交通荷重の大きい場合は、"拒絶密度"と試験室の60℃ホイールトラッキング試験を設計配合混合物の追加的な変形性を求めるために使用している。新材料を用いる場合には、はく離の問題をチェックするため、残留安定度試験が用いられている。

世界的な研究方向の影響を受けて

 オーストラリア混合物配合設計手順に至るには、下記が我々の考え方に影響を与えたことは疑いを容れない。

・SHRPのジャイレトリー試験機の採用
・ノッティンガムアスファルト試験機(NAT)の適用性
・カリフォルニア大学アスファルトビーム疲労試験機
・アメリカおよぴヨーロッパにおける各種のホイールトラッキング試験機の開発
・イギリスの拒絶密度試験
・アスファルト技術センター(NCAT)のアスファルト混合物の残留安定度に関する成果

 AUSTROADSと産業界で一つの研究グループが形成されており、アスファルト、ポリマー改質バインダおよびマルチグレ−ドを含む各種バインダ種類についての供用性に基づく規格仕様を制定しようとしている。これにはバインダの性質と供用性の関係の明確化およびそれをサポートする試験装置、試験方法が含まれることになろう。さらに言えば、SHRP/SUPERPAVEの供用性による等級仕様はこの過程のインプットとなろう。
 SHRP/SUPERPAVEのモデルのレビューに関するインプットの一環として、オーストラリアはMatt Witczak教授を調査主任とするFHWAの国際的協力会議に公式に参加している。
 このレビューの目的は汎用のたわみ性舗装の供用性予測モデルと、最終的には供用性に基づく、あるいは関連付けた仕様の開発である。オーストラリアの設計になるサ−ボ制御の油圧装置(ジャイレトリー締固め試験機、ビーム疲労試験および高速三軸試験機)が候補となる試験手順として用いられることはオーストラリアがSHRPの評価に深く関わっていることを示している。
 以上から、SHRPとヨーロッパの成果は、いずれかに片寄ることなく、採用され、この件に関するオーストラリアの研究方向に影響を与え、今後もそうなるであろう。


南アフリカのSUPERPAVEに対する見方

by Professor MFC van de Ven
Sabita Chair in Aspahlt Pavement TEchnology,
University of Stelenbosch

 1995年11月、約30の南アフリカの代表がStellenbosh大学のRobert B. McGennisiによるSUPERPAVEの訓練コースに参加した。このコースはSUPERPAVEの混合物設計および解析をカバーするものであった。この訓練コースおよびその他の地方的な活動はまずは大きな関心を呼び、その後、南アフリカでも多くのSUPERPAVEに関連する研究が実施された。
 特に、戦略的に南アフリカ全国に配置した4台のSUPERPAVEジャイレトリー締固め試験機はレベル1の容積設計を可能にした。昨年はCSIR Transportek, PretoriaがSUPERPAVEのレベル2および3の試験のための全装置を導入した。

SUPERPAVEに対する関心

 SUPERPAVEは検証の済んだ混合物設計方法であるという認識は正しくない。むしろ、これからさらに改良されるべき混合物設計方法である。
 筆者が最近出席したアメリカでのICAP '98およびAAPT '98の会議でこのことは明らかになった。SUPERPAVEのバインダ仕様は非改質バインダ、改質バインダの両方には使えない、疲労パラメータ、ダスト分とバインダの比、粗粒度のSUPERPAVE混合物の水の浸透性などのさまざまな疑問が生じてきた。
 また、SHRP/SUPERPAVEシステムは今後の舗装供用性モデルの優れたフレームワークとなるものであるが、アスファルト材料の性状モデルと関連する試験方法には、その修正に多年を良うするような問題がある。

南アフリカには適しない

 最初の興奮が終わると、もう少し熟した見方が生じてきた。南アフリカ市場はアメリカのそれとはかなり異なっており、それがSUPERPAVEの適用性に重大な影響を及ぼす。
 南アフリカでは加熱アスファルトの市場は比較的小さく、その道路の約60%は粒状路盤の上をシールしたものである。SUPERPAVEのバインダの技術に関する部分では、高い供用温度(60℃〜70℃)における粘度や老化環境の違い、あるいはバインダの均質性の違いなどに関しての直接的な関係付けは見あたらない。
 連続粒度の混合物と異なった、セミギャップ粒度の混合物にチップをロールしたもの、透水性アスファルト混合物あるいは砕石マスチックアスファルト(SMA)などが用いられているが、これらの種類の混合物はSUPERPAVEのシステムでは自信を以て設計することはできない。
 南アフリカのいくつかの地域では、設計の焦点を表面のテクスチャ(マイクロおよびマクロの)に当てる。すべり抵抗や騒音レベル、水撥ね、などの重要な機能的な要求に対する方法は提供されていない。
. いわゆる禁止ゾーンの要求条件を満たさない混合物の多くが、成功裏に用いられてきている。SUPERPAVEのバインダ/混合物の技術は、基礎的な流体/機械的性質に基づいている。がしかし、これらを測定するとなると、高価な、新しく開発した器具を必要とし、扱いには専門家を要する。南アフリカではアスファルトの市場はこのような装置を利用するには、ある地域に限るとしても小さすぎる。

評価試験に良い刺激

 多くの肯定的な面もある−基礎的なバインダの仕様、現場での締固めの試験室でのよりよいシミュレーションと計測、容積設計法に対する新たな見方、舗装温度との直接的な繋がりなどのSUPERPAVEからの産物は南アフリカの我々自身の混合物設計法の改善に役立つことになろう。
 全体的には"SUPERPAVEは救いの神"というのは南アフリカについては当たらない。南アフリカでは比較的小さな市場しかカバーできない。SUPERPAVEが我々南アフリカにもたらした多きな利点は、我々に我々のやり方を考え直す刺激となったことである。


SUPERPAVEに肯定的なアメリカの請負業者

 アメリカアスファルト舗装協会(NAPA)は舗装業者がSUPERPAVEの混合物設計システムをどう思っているかを知るために、20の請負業者に非公式に調査を行った。これらの業者は275万トンのSUPERPAVE混合物を使用して69のSUPERPAVEの工事を都市内および地方の道路で施行し、その半数以上が重交通道路であった。
 全体として、調査の回答者は一般的にSUPERPAVEのシステムに対して肯定的な結果を報告している。彼らが強調したのは、SUPERPAVEの舗装では、業者は細心の注意を払って、良好な製造手順および施行を実施することが要求されることである。以下は発見された、いくつかのキーになる事項である。

バインダに関しては問題なし

 SUPERPAVEのバインダ仕様の導入は問題を生じなかった。請負業者は従来のバインダ供給らからSUPERPAVEの供用性等級仕様によるバインダの確保についてのトラブルは無かったといっている。
 一般的には請負業者ではなく、道路管理者がある工事のためのバインダの等級を選択していた。SUPERPAVE混合物用のバインダの60%は非改質であり、従来型のアスファルト混合物の場合よりも低い率であった。
 多くの回答者は、道路管理者、業界ともSUPERPAVE混合物の供用性に満足しているため、改質バインダの使用は減少すると見ている。
 回答者の70%はSUPERPAVE用のバインダと従来のバインダの間に相違は見られなかったとしている。

従来の骨材は利用可能

 SUPERPAVE混合物の骨材仕様は従来型の混合物と幾分は異なるが、調査対象の95%の業者は、それまでの供給業者からSUPERPAVEのガイドラインを満足する骨材を手に入れることができた。
 業者はSUPERPAVE用の骨材配合は洗った材料をより多く必要とし、より多くの人工砂を要しまた、従来型の骨材配合よりも広い範囲の骨材サイズを要するとしている。
 SUPERPAVE混合物は従来型の混合物よりも粗粒度であり、禁止ゾーンの下にくる。骨材サイズの60%は禁止ゾーンを避けるのに何の問題も生じなかった。問題があったものは、一般に骨材間隙率(VMA)の要求を満たすことが困難であった。回答者は禁止ゾーンの細粒度側の方がVMAの要求を満たしやすいと答えている。調査対象の20%がSUPERPAVE混合物に再生アスファルト舗装を用いている。

請負業者が混合物を設計

 SUPERPAVE混合物の75%近くが請負業者によって設計されており、85%はSUPERPAVEのすべての要求条件を満たしていた。それらの混合物の多くは12.5 mmあるいは19 mmの骨材粒度の表層混合物であった。
 調査対象の業者の半分は、所要の容積特性を得るのに困難を生じており、それは一般に、低い、不整合な骨材間隙率と立方体型の角張りの不足した材料あるいは人工砂の不足によるものであった。
 禁止ゾーンを酒ながら最小の骨材間隙率を得るために回答者が推奨したのは、配合設計者が骨材を4.75 mm〜2.36 mmフルイ目のところで最大密度線の上方を通るようし、それから最大密度線を横切って禁止ゾーンの下に来るようにするというものである。

プラントでの業務に変わりなし

 調査対象者はプラントの運営にはほとんど影響は無かったと言っている。一般的にはSUPERPAVE混合物の製造は、粒度管理およぴバインダ量の管理に留意するという限りではいままでと何ら違いない。
 調査対象の業者の多くはSUPERPAVE混合物の製造にドラム式プラントを使用している。その半数以上が骨材ビンを追加しなければならなかった。大多数の回答者は混合物の製造量および混合時間は、混合温度は高くなることもあるが、従来の混合物の場合と変わらないとしている。

舗設、締固めでは細部が重要

 解答者の85%は舗設作業に何の問題も無かったとしており、90%は舗設速度も変わりないと言っている。手作業はSUPERPAVE混合物の場合は難しかった。すべての請負業者が舗設手順をしっかり守ることが重要だとしている。
 調査対象者の85%は所要に密度を問題なく達成できたと言っているが、半数は達成はより紺なんであったと言っている。60%の請負業者はローラをより多く要し、フィニッシャの後方、より近くに配置する必要があるとしている。40%はSUPERPAVE混合物は従来型の混合物よりも冷えるのが早いと言っており、3分の2はSUPERPAVE混合物についてはテンダーゾーンの問題があるとしいる。

品質管理に変わりなし

 調査対象者はSUPERPAVE混合物はアスファルト量や容積特性の変動は従来型の混合物と同程度であったとしている。70%はSUPERPAVE舗装は大体において従来型舗装と同様の表面テクスチャであり、ブリージング、ファットスポットあるいは目詰まりなどはまったく見られなかったとしている。 しかしながら、SUPERPAVEシステムの混合物は微妙な変化に敏感なため、品質管理がより重要になってくる。いくつかの請負業者は骨材の複合単位重量を毎日試験する必要があったと報告している。

大体において請負業者は感銘

 この調査の全体としての結論は、時として困難はあるが、請負業者はSUPERPAVEのシステムに感銘を受けているということである。システムの導入はかなりうまく行っているが、いくつかの技術的問題が残っている。
 特に、SUPERPAVEシステムは骨材の組み合わせの評価がよりうまく行われることが見てとれ、SUPERPAVEのジャイレトリー締固め試験機はマーシャルハンマーよりも実道路で起こっていることによりよくマッチしていることが見いだされた。最も重要なのは、SUPERPAVEはわだち掘れ問題に対する回答になっているようだということである。

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